
厳格すぎる性格ゆえに、妻をアルコール依存症に陥らせてしまいそして亡くし、娘の憎しみを買い、家庭の和を築くことができなかった安田は、定年退職を期に小さなアパートに独り暮らし始めた。安田の隣に住むのは母子家庭の親子。ある日虐待を繰り返す母親のもとから、背中に天使の羽をつけた幼い少女を連れ出した安田。そして、自分の家庭を築けなかった安田と心に傷を負った少女の長い散歩が始まる。
しかしそんな安田の行動に世間が下した判断は・・・。
短い旅の中で、少女と安田が心を通わせ互いの心が浄化されていたという事実があったとしても、それは世間から見れば「誘拐」だった。少しも愛情をもらえず、いつも荒れた部屋の机の下で耳をふさいでうずくまっていた少女を連れ出さずにはいれなかった男は、世間から見れば「犯罪者」だった。過去の過ちへの償いをしたかった不器用な男だった。
少女は、幼稚園にも行かせてもらえずいつも独り。
家にいると虐待を受ける、大人の醜態を見せつけられる。
だから少女はいつも、傷ついた心を守るため森の中のもうひとつの自分の部屋にいた。
それでも夜になると、やっぱり家に帰った。
それぞれの孤独を抱えた2人の長い散歩。
2人の間にあった「青空を見に行く」という約束にだけは救われた気がした。
決して人には知られることのない孤独は、その約束によって少しだけ溶かされたような、そんな気がした。青空を見た少女が思いきり飛ぼうとしたその瞬間に、少女の身動きの取れなかった心が解放されたのかもしれない。
結果的にはその解放は一時的なものであって、2人とも戻るべき所へもどらなければならないという現実が目の前にあったわけだけれど・・・。
正直、何を書いてもこのテーマの中ではしっくりこないし、
語る言葉があまり見つからない。
涙が止まらなかったです。